こんにちは。うどん研究者です。
みなさんは研究での海外留学はお考えでしょうか。
僕は博士課程からの海外留学を予定しております。
しかし、別の投稿で紹介したようにコネもなかったため、自力で研究室を探すことになりました。
その際に、どのように調べたのか、どういう点に注意したのかを今回の投稿で取り上げようと思います。これからラボを探すぞって方に役立ったら幸いです。
ラボ探しを始める段階の僕の状況
研究経験としては大学の研究室に所属して、おおよそ1年が経過していました。学部生3、4年の間にラボに通っていた経験を含めると研究経験としてはもう少し長くなります。まだまだ研究に関しては駆け出しということです。
さて、僕は留学先の研究室のコネがなかったわけですが、その理由としては大きく二つあります。1つとしては、これまでしてきた研究分野と少し違う分野をしたいと思っていたからです。
自分の所属している研究室から交流があるラボに留学をしている人はいましたが、それは同じ分野のラボだったため、この機会は利用しませんでした。

2つめの理由としては、たとえコネがなくとも、どうせ海外に行くんだったら、できるだけレベルの高い研究をしている、よい環境のラボに行きたいと思っていたためです。
知り合いの教授の先生から紹介を受けることも可能でしたが、自分の求めている環境に少しでも近づくために自力で探し出すことを決意しました。
自分の興味は何か
まず一番重要なのが自分の興味が何か、ということです。シンプルですが、これが具体的であれば、具体的であるほど、ラボ選びは簡単になります。
これをきめるのは簡単そうで、実は難しいです。実際にやってみなければ本当に好きかわからないということはあるし、自分の興味が変わってしまうかもしれません。
ですので、僕のように、仮に1つに絞り切れなくても、複数の分野について、どういうラボがあるか実際に調べて、なんならコンタクトをとって実際に見に行ってみてもいいんじゃないかと思います。
1つ思うのは、今やっている研究の経験があるからといって、その分野の中で決めようとする必要は必ずしもないということです。
たしかに、自分がしているのと同じ分野のラボなら、相手のPI(ラボリーダーのこと)も自分に興味をもってくれる確率は高まります。
しかし、本当の興味がそこにないとわかってる場合、将来的に自分の興味のある分野に近づくためには、早いに越したことはないと思います。
修士、博士、ポスドク、と研究経験を重ねるにつれ、ラボ就職の際に過去の経験がより重大に評価されていくため、身軽なうちに少しでも興味のある方向へ近づいていた方が良いと思います。

大御所PI vs. 若手PI
大御所のPIと若手のPIではどちらが良いでしょうか。
これには賛否両論があると思います。
大御所PIのメリットとしては、ラボも大きく、すでに実績があるため、資金が豊富な点です。研究の自由度も比較的高いと考えられます。有名PIの下で研究する場合奨学金もおりやすいかもしれません。また、そこでの仕事が終わり次のラボに就職する際にも、その分野で有名な研究室からの出身なら、そうでないのと比べ、就職に有利になると思います。
デメリットとしては、ラボの人数が多いがゆえ、PIの直接的な指導が行き届いていないことがあることです。すでに経験のあるポスドクの方は、豊富な資金を使って、自分のしたいようにできるかもしれませんが、まだ経験のない院生の場合、何をしていいか分からず研究が進まない、ということもあるかもしれません。
若手PIのメリットはまだラボの規模も小さく、PIから手取り足取り研究の進め方を指導してもらえることにあります。
もしも、その若手PIが将来有望で、今後その分野を切り拓いていく研究者である場合、自分のキャリアの長くにわたって、そのPIとの関係から恩恵を受けていくことができます。自分が独立するときにも手を貸してくれるかもしれません。
またラボの立ち上げに携われば、自分が独立する際にも経験が役立つとおもいます。
若手PIのデメリットとしては、そのPIが研究を組み立てる資質に欠けていて、5年経っても、6年経っても論文を出させてもらえないことがあるということです。また手取り足取りの指導の裏返しとして、研究の自由度は低いかもしれません。

具体的な調べかた
ここからは具体的な調べ方について説明していこうと思います。
自分のラボの教授に聞く・学会で探す
たぶん一番よくある方法はこれなんじゃないでしょうか。自分の教授であれば、その分野で有名な研究室を知り尽くしているはずです。また国際学会に行くことのある人はポスター発表などで自分の面白いと思う研究を探し、その研究室のメンバーに話かけてみるのがいいんじゃないかと思います。
論文から調べる
自分が興味ある分野が明確であれば、明確であるほどこの方法は有効です。自分が面白いと思った論文や、こんな研究してみたいな、と思う論文のラボを調べてコンタクトを取っていくのが良いと思います。

研究機関で調べる
このラボのこういった研究がしたい!というような具体的なプランまではない場合はどこの大学や研究所で留学したいかも重要なファクターとなります。
大学だけなく研究所でも国際的な研究所なら独自の学位を有していたり、また大学と提携していたりして、学位が取れる研究所は数多くあります。例えば、アメリカのスクリプス研究所やソルク研究所、ドイツのマックスプランクやEMBL、フランス国立科学研究センター、スペインのCRGなどなど多数あります。
海外の大学のホームページはときどき非常に探しにくいです。 そういうときは「○○university+research groups」などと検索してみましょう。 研究グループ一覧のページにたどり着くのがコツです。このようにラボ一覧のページから探すのもよいし、「研究機関名+興味ある分野」と検索して、直接興味のある分野のラボを調べるのもよいと思います。

研究費を調べる
研究費もラボを選ぶ1つの判断材料になります。大御所のPIで実績もある研究室であれば、研究費は豊富にあると考えてよいでしょう。
一方で若手PIの場合、研究費があるかどうかはそのラボの将来性を大きく左右するので良く調べておいたほうがいいです。
大体の場合、「PIの名前+grant」と検索することで、公的機関からの研究費を調べることができます。そのグラント(研究費のこと)を用いてどのような研究を進めていくのかの計画もあわせて、知ることができます。
将来この人のラボは成長するかも、という若手PIのライジングスターを見つけるための一つの手段として、NIH(アメリカの研究費機関)やERC(ヨーロッパの研究費機関)のラボ立ち上げグラントを検索する手段もあります。
NIHならNIH Director's Early Independence AwardやNIH Director's New Innovator Awardといったグラントがあります。
ERCならERC Staring Grantというものがあります。
これらのグラントは数年間で2億円などといった額で、今からラボを立ち上げるPIを対象としています。独立前から研究実績が多くあり、将来有望と考えられる研究者に渡されるそうです。

大学院生の実績を調べる
博士課程の進学を希望する場合、ラボを見つけたときに一つ留意しておきたいポイントはそのラボの院生の実績はどうか?ということです。
ラボによってはポスドクがラボの実績のほとんどの主体で、院生には大きなプロジェクトを持たせてもらえないということもあります。

院生の実績を調べる一つの方法をちょこっと紹介します。
その研究室のホームページから発表論文を調べて、ここ数年の論文のファーストオーサーの名前を参照します。
ホームページにはグループメンバーのページもあり、そこにはAlumniといって、過去にいたメンバーの名簿とその役職も記載されていることが多いです。そこの名簿からファーストオーサーの人たちが、執筆時院生であったか。ポスドクであったかを知ることができます。

まとめ
以上が、僕が紹介するラボの調べ方と、選ぶにあたってのポイントです。
詰まる所、調べ方は人それぞれです。しかも自分が行くラボは1つでも決まれば、それ以上手間をかけて調べる必要はもうありません。
一番大切なことは調べたラボに直接訪問してみることです。最終的にはPIとの相性やラボの雰囲気が自分に合うかどうかがとても大切になってきます。

僕と同じような状況の人がいればぜひ参考にしてください。