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【医学生が解説】新型コロナウイルスに関する最新研究まとめ

こんにちは。うどん研究者です。

今回の記事では新型コロナウイルス(SARS-CoV-2、COVID-19)についての最新研究を取り上げていきます。(2020年2月26日現在)

本記事では、有名科学誌に投稿された研究を中心にまとめていきます。

1月25日時点で感染者は7万人超!?

最も権威のあるイギリスの医学雑誌「The Lancet」では1月31日に香港大の研究者Joseph T Wu氏らによるコロナウイルスの疫学研究が発表されました。


この研究ではこれまでの感染拡大の経過や武漢の交通状況を基に感染の広がりを推定しました。

新型コロナウイルスの感染者1人からうつされる人数は2.68人と推定し、感染者数が2倍になるまでの日数は6.4日と算出しました。

ここから中国・武漢市やその周辺都市の感染者数は1月25日時点で7万5815人に上ると推定しました。

Joseph T Wu氏らは中国との移動量が多い都市では、直ちに十分な公衆衛生の介入がなければ流行の発生の中心になるであろうと述べています。そして無症状の症例があることから世界レベルの大都市での流行は不可避である可能性を指摘しています。

新型コロナウイルスはSARSとウイルス同じ受容体から肺の細胞に侵入する!

中国科学院の研究者Zheng-Li Shi氏らは、2月3日に科学誌「Nature」から新型コロナウイルスの遺伝子解析に関する研究を発表しました。


新型コロナウイルス2019-nCoVの遺伝子解析から79.5%の遺伝子はSARSコロナウイルスと同様の配列であることが確認され、遺伝子のタンパク質をコードしている部分の解析からSARSコロナウイルスの親戚であると結論付けました。

また96%はコウモリのコロナウイルスと同じ配列であり、コウモリが起源であることを強く示唆しています。

新型コロナウイルスはSARSコロナウウイルスと同様にACE2という肺細胞上のタンパク質を侵入の際に用いることが分かりました。

Zheng-Li Shi氏はSARSに対する開発中ワクチンを新型コロナウイルスにも用いることができるのではないかと提言しています。

新型ウイルスのタンパク質構造が判明!

米国のテキサス大と国立アレルギー・感染症研究所の研究チームが2月19日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。

当研究チームはクライオ電子顕微鏡法という試料を低温凍結させたまま解析する手法で新型コロナウイルスのタンパク質の構造を解析しました。

これにより新型ウイルスが細胞に感染する際に用いるスパイクタンパク質の詳細な構造が解明されました。

スパイクタンパク質が結合する受容体タンパク質は、SARSウイルスの場合と同じACE2であることが分かっております。

研究チームが新型ウイルスのスパイクタンパク質をACE2と結合させる実験を行ったところ、SARSより結合力が強いことが判明しました。新型ウイルスの感染が拡大する要因となっている可能性があると指摘しています。

SARSウイルスに特異的なモノクローナル抗体は新型ウイルスに結合をせず、SARSの抗体は新型肺炎の治療には有効でない可能性も示唆されました。

構造が分かったことで、ワクチンや、抗ウイルス薬の開発に広く利用されることが期待されています。

新型肺炎には関節リウマチ薬バリシチニブが有効!?

インペリアルカレッジロンドンの研究者Justin Stebbing氏らは、2月4日医学雑誌「The Lancet」で新型肺炎の治療についての新しい見解を示しました。


Justin Stebbing氏らBenevolentAIというAIソフトを用いて有効な治療薬の探索を行い、その中でバリシチニブという関節リウマチの薬が有効である可能性を提案しています。

新型コロナウイルスはACE2というタンパク質を肺の細胞に侵入する際に用いますが、この際に肺細胞由来のAAK1という酵素を利用する可能性が示唆されています。そこでAAK1を阻害する薬でウイルスの侵入を防げるのではないかと考えました。

このAAK1阻害薬がバリシチニブという薬なのです。バリシチニブは関節リウマチに用いられることのある薬ですが、臨床的にはそこまで普及している治療薬ではありません。

Justin Stebbing氏はバリシチニブの可能性を強調し、臨床実験を行うことを提言しています。

症状のある感染者も無症状の感染者もウイルス量は同じ

New England Journal of Medicineで2020年2月19日に中国・広東省疾病管理予防センターのJie Wu氏らがコロナウイルスに関する新しい知見を発表しました。

Jie Wu氏らはCOVID-19の患者18例について、鼻と喉から検体を採取しウイルス量を調べました。

その結果、鼻でより高いウイルス量が検出され、ウイルスの広がり方は、ゲノム配列が類似しているSARS-CoVよりもインフルエンザに近いことも分かりました。

また症状のある感染者と無症状の感染者のウイルス量に大きな差がないということがわかりました。

無症状者からの感染報告を裏付ける結果となり、無症状でも接触者の隔離の必要性を示唆する結果となりました。

(参照)SARS-CoV-2 Viral Load in Upper Respiratory Specimens of Infected Patients

おわりに

まだまだ新型コロナウイルスの研究は始まったばかりです。

HIV治療薬の有効性なども語られていますが、現段階では強いエビデンスは揃っていません。今後の研究で有効性の有無が確かになっていくと思われます。

うどん研究者
個人的には新薬開発よりも、今すぐにでも現場で使える既存薬の有効性の発見を期待しています。

新型コロナウイルスはついこないだ始まったばかりで今の段階では決定力に乏しい論文なども多いです。

Nature誌の調べによると1月のだけでも50以上の論文が発表されているようです。今後もどんどん出てくることを期待しています。

うどん研究者
情報に惑わされないように気をつけましょう。

当ブログでは今後も新研究を更新していく予定です。研究が進んでいくことをお祈りしています。

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うどん研究者

生物学研究者の卵。 大学院、基礎医学研究、留学、英語学習について発信していきます。 博士課程から海外留学予定。大好物はうどん。

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