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【現役医学生が解説】新型コロナウイルス肺炎の収束時期の徹底予測

こんにちは、うどん研究者です。

現役医学生である僕が、今猛威を奮っている新型肺炎の今後を解説していきます。

これまでの経過

まずはこれまでの経過をまとめてみます(2月1日現在)

【2019年】
12月8日:武漢で最初の新型肺炎患者が報告
12月31日:原因ウイルス(2019-nCoV)がWHOに報告
【2020年】
1月9日:初の死亡例確認
1月16日:神奈川県内で国内初の感染症例
1月20日:感染者数200人を超える
1月22日:WHOが緊急会議
1月23日:武漢市の空港・鉄道・フェリーなどの交通機関が停止に
1月25日:感染者1000人を超える、死者は40人に
1月27日:日本政府 新型肺炎を「指定感染症」に指定
1月28日:日本 武漢への渡航歴がない感染者確認
1月29日:感染者6000人を超える(死者は131人)
1月31日:WHO 緊急事態を宣言、感染者数はSARS総数を超える
2月1日:感染者数1万人を超え、死者259人に

このように経過を見てみると感染者の報告数が200人だった1月20日からたった10日後の2月1日には1万人超えをして、新型肺炎の恐ろしさがよくわかります。

2月1日時点では中国以外では24の国と地域で感染者は151人に上っています。
このうち武漢への渡航歴のない人の感染が確認されたのは、日本、ベトナム、台湾、ドイツ、アメリカ、フランス、韓国、タイの合わせて8つの国と地域に及んでいます。

最も権威のあるイギリスの医学雑誌「The Lancet」では1月31日に香港大の研究者によるコロナウイルスの疫学研究が発表されました。

この研究では中国・武漢市やその周辺都市の感染者数は1月25日時点で7万5815人に上る可能性があると指摘しています。

これまでの経過 追記(3/3)

この2週間の経過を分析してみましょう。

下は2週間前2月16日現在の感染者数です。

しかし

3月3日現在、日本は227名、韓国4753名、イタリア1835名、イラン1260名、シンガポール106名、タイ43名、台湾41名、ドイツ130名、フランス130名となっています。

これをみると日本、欧米、中東の乾燥寒冷な気候の地域で急増しているのに対し、16日時点で多かったシンガポール、タイ、台湾ではあまり増加していません。

これらの湿潤温暖な国では一次感染が多いものの、市中感染はごく少数でしか起きていません。

日本でも、ダイヤモンドプリンセス号が立ち寄った沖縄では、接触者の感染判定はいまのところ陰性で、感染拡大も起こっていません。一方で北海道では80人近くの感染が報告されています。

この経過から推測するに、やはり温暖湿潤の気候ではコロナウイルスは感染力が低下するのではないか、というのが個人的な見解です。

うどん研究者
経過からそう考えるのが自然に思われます。気温が関係ないという研究もありますが・・・

3月もあと1,2週間もすれば全国的に気温が上がってくるので、いまが最も感染対策を心がける踏ん張り時なのではないかと思います。

SARSの事例を考える

新型肺炎はご存じの通り、コロナウイルスの感染によって引き起こされます。
過去の集団発生の実例である、同じく、中国発祥のコロナウイルスによる感染症SARSについて比較してみましょう。

SARSの経過

SARSの経過を以下にまとめました。

2002年11月16日:中国広東省ではじめての報告
2003年3月12日:WHOが全世界に向けて注意喚起(Global Alert)を発する
2003年4月16日:原因ウイルス(SARS-CoV)が突き止められる
2003年6月:日本政府 SARSを「指定感染症」に指定
2003年7月5日:WHOが終息宣言を発表 (※収束はひと段落着くこと、終息は完全に終わること)

感染者数は中国を中心に8,096人で、うち774人が死亡しました。
北半球のインド以東のアジアとカナダを中心に、32の地域や国々へ拡大しました。

SARSは初めての報告から終息宣言まで約8か月までかかりました。
冬から流行り出し、ピークは春先、5月くらいからは収束していきました。

収束できた大きな理由は、3月頃から国際的な問題として掲げられ検疫が強化されたことがあります。

またコロナウイルスはインフルエンザと同じように、冬に感染力が強く、夏にかけては比較的感染力が落ちることも影響していると考えられます。

したがって、今回の新型コロナウイルスに関しても「夏頃には収束」というのが予測の1つとして挙げられます。

しかしSARSとは様々な点で違いがあります。

新型コロナウイルスとSARSとの違い

Good!

① 新型は感染力が弱い

SARSの感染力は1人の患者から2~5人で(インフルエンザは1.4~4人)、新型は1人の患者から1.4人から2.5人と予測されています。したがって新型の方が感染力はやや弱いと考えられます。

② 新型の方が軽症

SARSの致命率が9.4%なのに対し、新型は2%ほどで重症度も低いです。

③ 世界各国の対応が迅速

SARSのときは最初の肺炎の報告からWHOが注意喚起するまでの期間は4か月に対し、今回の新型は緊急事態宣言までに1か月半とかなり早い対応となりました。

世界各国はアメリカがリーダーシップをとりながら、検疫や渡航規制を迅速に開始しています。

Bad↘

感染力は同じですが、新型ウイルスの方が流行速度は圧倒的に速いです。

下図はThe New York Times:How Bad Will the Coronavirus Outbreak Get? Here Are 6 Key Factorsを参考に作成。

これはなぜでしょうか。

① 中国人の移動の数が圧倒的に増えた

訪日中国人でいうと、SARSが流行した2003年は44万8782人でしたが、2019年は959万4300人と約21倍にも増えています。

中国人の国内移動増加・世界的な進出が今回の世界的流行の一番の理由です。

とくに武漢は中国のハブ空港です。中国全土、そして海外への渡航者が集まる街なのです。

② 無症状者からの感染が多い

SARSの潜伏期間は2~10日であるのに対して、新型の潜伏期間が最大2週間という報告があり、やや長いため、気づかぬ間に人にうつしてしまう可能性があります。またSARSよりも重症化率が低く、若者間の無症状での感染拡大が懸念されています。

収束へのカギ

政府の対応

アメリカは2月1日に、過去14日間に中国を訪れたすべての外国人のアメリカへの入国を当面拒否する方針を発表しました。

フランスやイギリスでも航空会社が中国発着便の欠便を開始しています。

一方で日本政府は他の先進諸国と比べ対応に遅れをとっています。
現在でも中国への渡航を「自粛」要請に留まっています。

2月、3月の2カ月間で訪日中国人は140万人くらいです。今回の感染流行で中国政府が団体旅行を禁止したことでこの時期の40万人近くが旅行を取りやめる可能性があります。(参考)

しかし少なく見積もっても毎日1万人以上の中国人が日本に来ていることになります。
それ以外にも中国から帰国する日本人も多数います。

うどん研究者
日本政府は感染拡大を防ぐために中国からの渡航を今すぐにでも規制すべきだと思います。

感染対策への意識

新型肺炎といっても、本体は風邪を引き起こすコロナウイルスが原因です。

基本的に飛沫感染が原因であるため、裏を返せば、感染者の唾液が何らかの理由で口に入りさえしなければうつることはないです。

各個人がマスク着用と手洗いをしっかりと行えば感染する可能性はグッと減ります。

医学的にもっともエビデンスがあるのは手洗いです。30秒間しっかりと石鹸またはアルコールで入念に手を洗いましょう。

感染対策への認識向上や啓蒙が進めば、流行拡大を食い止められるはずです。

季節

一番感染力の強い冬から春先に流行対策を強化し可能な限り感染拡大を抑えて、夏に逃げ込むというのが大切です。

日本では2月から3月にかけては花粉症患者によるマスクの着用が圧倒的に増加するので、これも拡大防止に有効に働くのではないかと期待しています。

ワクチン開発

世界の各国の主要な研究機関がこぞってワクチン開発に取り組んでいます。

しかしどんなに順調に進んでも、臨床試験は夏に開始するのが精一杯です。
通常臨床試験は数段階に分けて行うため、最低でも数か月を要します。

仮に副作用の問題がなかったとしても、そこからパイプラインを確保し大量生産をしなければなりません。

現代の先端技術を集約して何とか成功した場合でも、私たちの手元に届くのは最速で2020年末ということになります。

僕の予想ではここまでにはすでに感染は収束しているのではないかと思いますが、ワクチンがあれば来年以降の再流行を防ぐことが可能かもしれません。

全世界の研究機関が資金と人材を投入してワクチン開発に急いでいます。仮に流行時期に間に合わなかったとしても、今回のワクチン開発に要する期間は現代医学の現時点のレベルを表す一つの指標になるのではないでしょうか。

まとめ

今回の記事のポイントをまとめていきます。
現段階で報告されている情報に基づいて考えると、

① 今回の感染拡大の大きな理由は感染力の強さではなく、中国人を中心とする中国本土・世界規模の人の移動の増加

② 感染防止のために最も有効性が確実視されるのはワクチンではなく検疫・渡航規制強化とマスク・手洗いである。

③ いまだに大量の中国人が流入している。政府は早急に対応するべき。

政府による検疫強化と個人の感染対策の普及により、初夏までには感染拡大が落ち着いてくれること祈っています。

政府にはより強硬な姿勢で対策を講じてほしいですね。

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うどん研究者

生物学研究者の卵。 大学院、基礎医学研究、留学、英語学習について発信していきます。 博士課程から海外留学予定。大好物はうどん。

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